高分子鎖の慣性半径調整

慣性半径とは

慣性半径とは分子鎖の広がりを示す指標であり、これもタイムスケールが小さいと実験値に収束しないため人為的に調整する必要がある。慣性半径が実験値と一致するようにそれぞれのモノマー重心に対して高分子鎖重心を中心とする円における半径方向にバネポテンシャルからなる力を加えることで分子鎖の広がりを調整する。

からみあい調整後の構造から慣性半径を調整した構造を作成する。

この過程も基本的にスパコンで行う。AdjustEntanglementで取り出したからみあい調整後の構造ファイル(~.gro)を持ってくる。 その後、からみあいを変化させたトラジェクトリファイルを生成する時と同様に実行ファイルが存在する~/bin/AdjustRg/に移動し、Makefileに従ってadjustRg.cppというファイルをコンパイルして欲しい。基本的にからみあいの調整過程と同じ部分が多いので割愛する。 コンパイルに成功したらbinディレクトリから出て、AdjustRgディレクトリに移動してからみあい調整後の構造ファイルを手元のパソコンから持ってくる。その後Run.shを実行することで慣性半径が調整された構造ファイルを得ることができる。

慣性半径調整後の構造におけるからみあいの値を確認する。

z1_input.inputファイルの中身を自分の計算系に適した形に書き換えて(主にInputファイルのトポロジーと構造ファイル)、からみあいの時と同様にbinの中にあるZ1_input内のプログラムを実行する。

#筆者の手元のパソコン環境での実行例
/home/yoshida/bin/Z1_input/z1_input_1.2 -i z1_input.input

実行できたらアウトプットファイルができたZ1ディレクトリに入り、loop.shおよびbin内のZ1ディレクトリに存在するmake_Z1の/home/yoshida/で始まる部分を自分のPATHに書き換える。

./loop.sh

loop.shを実行できたらviでNe.logを確認することで慣性半径調整後のからみあいの値を見ることができる。

注意

このからみあいの値はAdjustEntanglementで調整した後に慣性半径の値を合わせる過程で変化してしまった値であるので、vmdで取り出すからみあいの値を選択するときはこの慣性半径の調整によって変化することも考慮したものを選択して欲しい。