GROMACSのインストール

ここではGROMACSのインストール方法をまとめている。

重要

GROMACSのバージョンはgromacs-XXXとして表記しているので、基本的には最新のものを選んでインストールする。

インストール手順

まず、GROMACSをダウンロードする必要がある。 GROMACS documentationにアクセスし、適切なバージョンのDownloadから「gromacs-XXX.tar.gz」をダウンロードする。 またはwgetを用いてターミナルで直接ダウンロードしてもよい。

# GROMACSのインストール先へ移動
# インストール先のディレクトリにgromacs-XXX.tar.gzを用意しておく
cd ~/App
# ターミナルで直接ダウンロードする場合はここで
# wget  https://ftp.gromacs.org/gromacs/gromacs-XXX.tar.gz
tar -xzvf gromacs-XXX.tar.gz
cd gromacs-XXX

gromacs-XXXのディレクトリへ移動したらlsで中身を確認しておく。

次に、ビルド用のディレクトリとGROMACSをcmakeするディレクトリを作成する。

mkdir build
mkdir gmx_install

作成したbuildディレクトリへ移動し、cmakeを行う。 この時、GROMACSの様々なオプションを指定してインストールすることが多い。 ここではその一例を示す。

GROMACSインストールオプション 説明
-DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON GROMACSがFFTWを自動的にダウンロード、ビルドすることを許可
-DREGRESSIONTEST_DOWNLOAD GROMACSのテストをダウンロードする(make checkで実行)
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=xxx GROMACSをcmakeするパスの指定
-DGMX_MPI=ON 並列計算を利用してビルドする
-DGMX_GPU=ON GPU版のGROMACSをインストールする
-DCMAKE_C_COMPILER=xxx 使用するCコンパイラのパスの指定(環境変数CCでも設定可)
-DCMAKE_CXX_COMPILER=xxx 使用するC++コンパイラのパスの指定(環境変数CXXでも設定可)
-DGMX_DOUBLE=ON GROMACSを倍精度で構築する
-DGMX_SIMD=xxx GROMACSを実行するノードのSIMDレベルの指定

ローカルのPCにインストールする場合は系の構築や解析に使用する程度であり、大きな計算には使用しないので、次のオプションを指定すればよいと思う。

# ローカルでのcmakeの例
cd builds
cmake ../ \
-DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON \
-DREGRESSIONTEST_DOWNLOAD=ON \
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=${HOME}/App/gromacs-XXX/gmx_install \
-DGMX_MPI=OFF \
-DGMX_DOUBLE=OFF \
-DGMX_GPU=OFF

一方、スパコンなどにインストールする場合は並列計算を使用するため-DGMX_MPI=ONとする。GPUが利用できる場合は-DGMX_GPU=ONも指定しておく。

# スパコンでのcmakeの例
cd build
cmake ../ \
-DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON \
-DREGRESSIONTEST_DOWNLOAD=ON \
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=${HOME}/App/gromacs-XXX/gmx_install \
-DGMX_MPI=ON \
-DCMAKE_C_COMPILER=mpicc \
-DCMAKE_CXX_COMPILER=mpicxx \
-DGMX_GPU=ON \
-DGMX_SIMD=AVX_256

cmakeが終了したら続けてmakeを行う。 マルチプロセッサ環境であれば、-jを付けて並列コンパイルをすることで高速化ができる。 GROMACSのテストをダウンロードしている場合は同時にmake checkを行う。

make -j 4
# GROMACSのテストをダウンロードした場合はチェックを実行
make check

最後にmake installをする。

make install

終了するとgmx_installにGROMACSの実行ファイルが生成しているはずである。 .bashrcにパスを通してインストールは完了である。

.bashrc
# ホームディレクトリの.bashrcを編集
export PATH=${HOME}/App/gromacs-XXX/gmx_install/bin:${PATH}

正しくインストールされていれば、次のコマンドでGROMACSのバージョンが表示されるだろう。

# .bashrcの編集後にパスを更新
source ~/.bashrc
# GROMACSが正しく動作するか確認(バージョン確認)
gmx --version